東京マンション価格の見通し(2025年4月時点の分析に基づく)
1. 直近の動向
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新築供給・価格:2024年前半、東京23区の新築供給は明確に減少。2024年7月の新築平均価格は7,847万円(前年比▲21.1%)。もっとも、これは2023年の高額案件集中による基準効果の影響が大きく、需要減退を示すものではない。
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中古市場:一方で中古マンションの成約単価は堅調に上昇。良質在庫に対する実需・投資需要の強さが確認できる。
2. 価格を支える構造要因
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用地取得の難化と土地稀少性
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資材価格上昇、施工人件費の増加
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労働時間規制(2024年4月以降)に伴う工期長期化・開発コスト増
→ 新築の採算ハードルが上昇し、供給抑制=価格下支えの構図が続く。
3. 需要サイドの強さ
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富裕層・高所得若年ファミリーを中心に都心・駅近志向が継続。
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**城西(中野・杉並)/城南(目黒・品川)**は引き続き強含み。
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**城北(北区・板橋)/城東(江東・足立)**にも資金がシフトし、価格上昇余地を残す。
4. 下落リスクの評価
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金利上昇・景気減速は需要抑制要因となりうるが、
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供給制約(コスト高・用地難)
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都市中枢への恒常的需要
により、大幅下落の蓋然性は低い。金利上昇の影響は限定的なモデレーションに留まる可能性。
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5. 2030年に向けた制度・性能トレンド
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脱炭素(カーボンニュートラル)政策の推進により、ZEH-M等の高性能省エネ仕様が標準化へ。
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建設コストは一部上振れも、居住後のエネルギー負担軽減が価格受容性を支え、高性能物件の相対優位が強まる見込み。
6. 総括と投資示唆
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東京のマンション価格は高位レンジでの推移を保ちつつ段階的に押し上げられる公算。
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立地優位(都心・駅近)× 建物性能・仕様の優れた案件ほど資産価値の牽引役に。
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「大幅安待ち」は非現実的であり、要件を満たす優良物件を見極め、適時に確保する戦略が合理的。