(1) 不動産取得税
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概要:土地や建物を購入・交換・贈与などで取得した際に、都道府県が課税する地方税です。
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課税標準:固定資産税評価額(公的に評価された不動産の価格)
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税率:原則4%。ただし住宅用の土地・建物には軽減措置があります。
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住宅用建物:3%に軽減
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住宅用土地:課税標準を1/2に軽減(条件あり)
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納付時期:取得後数か月以内に納税通知書が届き、原則一括納付。
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軽減措置の条件:居住用住宅(50㎡〜240㎡程度)、新築後一定期間内の取得など。
(2) 登録免許税
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概要:不動産の権利を登記する際に国に納める税金。権利関係を公示するための費用であり、所有権移転登記や抵当権設定登記で発生します。
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課税標準:固定資産税評価額
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税率:
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所有権移転登記(売買):2.0%(軽減措置で1.5%)
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所有権保存登記(新築):0.4%(住宅用で0.15%に軽減)
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抵当権設定登記:0.4%
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軽減措置:住宅用家屋の登記には期間限定の軽減措置が適用される場合があります。
(3) 印紙税
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概要:売買契約書などの課税文書に貼付する印紙代。契約内容を公的に証明するための税金です。
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税額:契約金額に応じて1,000円〜数十万円。住宅購入で3,000万円〜5,000万円程度の取引なら2万円〜3万円程度が目安。
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軽減措置:住宅用建物の売買契約書などは、一定期間、印紙税が軽減されています。
(4) 消費税
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概要:個人が土地を売買する場合には非課税ですが、新築建物や事業者から購入する建物には消費税がかかります。
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課税対象:土地は非課税、建物は課税対象(10%)。
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留意点:中古住宅の売買で個人が売主の場合は非課税ですが、不動産会社などの事業者が売主の場合は課税されます。
2. 取得後にかかる税金
(1) 固定資産税
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概要:毎年1月1日時点で不動産を所有する人に課税される地方税。
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課税標準:固定資産税評価額
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税率:標準税率1.4%(自治体によって異なる場合あり)
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軽減措置:新築住宅(一定の条件を満たす場合)では、床面積120㎡までの部分が3年間(長期優良住宅は5年間)1/2に軽減。
(2) 都市計画税
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概要:市街化区域内に所在する土地・建物に課税される地方税。都市計画事業や土地区画整理事業に充てられます。
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税率:標準税率0.3%。
3. 優遇・軽減措置
(1) 住宅取得に係る税制優遇
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住宅ローン控除:一定の条件を満たすと、借入金残高の0.7%(2024年時点)を所得税額から控除。
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登録免許税・不動産取得税の軽減:新築住宅や中古住宅の要件を満たせば軽減されます。
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贈与税の非課税制度:親・祖父母から住宅取得資金を受け取った場合、一定額(最大1,000万円前後)が非課税。
(2) 土地の軽減措置
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住宅用地特例:住宅用地(200㎡以下)については固定資産税評価額を1/6に軽減(200㎡超は1/3)。
4. 実務上の注意点
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不動産取得税の軽減措置は申請が必要な場合が多く、放置すると軽減が受けられない。
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登録免許税や印紙税などは登記申請時・契約時に即時納付が必要。
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税額は固定資産税評価額に基づいて計算されるため、市場価格と異なることを理解しておく必要がある。
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税制は時限措置や改正が頻繁に行われるため、最新情報を税務署・都道府県税事務所などで確認することが重要。
まとめ
不動産取得には、取得時の不動産取得税・登録免許税・印紙税・消費税など、多様な税金がかかります。また、取得後も固定資産税・都市計画税といった継続的な税負担があります。特に住宅取得時には軽減措置や住宅ローン控除など優遇策が用意されていますが、適用には期限や条件があるため、専門家(税理士・司法書士・不動産会社)への相談が推奨されます。
税負担を正しく理解し計画的に対応することが、安心して不動産を取得・保有するための重要なポイントです。